コンクリートの一生を考える
コンクリート構造物は、これまでメンテナンスフリーと思われてきました。しかしながら、コンクリートは常に人の手を掛けていないと弱く脆いことが明らかとなってきています。硬化時の水和発熱によるひび割れや乾燥収縮ひび割れ、塩化物の浸透による鉄筋の腐食、火災によるコンクリートの崩壊等コンクリート構造物の寿命を縮める要因は多種多様であり、これらの原因を明らかにし、如何になくすかがコンクリートを長持ちさせる秘訣といえます。また、資源の有効利用や環境保全を前提とした材料開発も重要な課題といえます。
当研究室では、コンクリートの収縮によるひぴ割れのメカニズムの解明やコンクリートの経年劣化の予測技術、非破壊によるコンクリート内部の診断技術、縮尺鉄筋による立体視等に関する研究を行っています。コンクリートに木の持つしなやかさ、通気性、組織の緻密さ、温かさを取り込み、日本の風土に合ったコンクリートを造っていくのが当研究室の目標です。
研究室活動の特徴(学生による研究室紹介)
橋梁やトンネルなどの社会資本は、長期間にわたって性能を保って有効活用することが不可欠です。本研究室ではコンクリート材料に着目して、4つのグループに分かれて研究に取り組んでいます。グループは,以下の4つからなっています。耐久性に影響を与えるひび割れの発生メカニズムに関する研究を行う熱物性Gr、非破壊による耐久性評価法の開発を行う耐久性Gr、塩害や中性化などの複合劣化.とコンクリートの細孔構造の関係に関する研究を行う調査・分析Gr、ミニチュア鉄筋を用いた模型実験による構造性能評価に関する研究を行うミニ建Grです。
材料系の実験は決して1日で終わる実験ではなく、長期的にデータを収集し、結果を判断する必要があります。また、実験は決して一人ではできず、みんなで協力し合いながら行います。大変ではありますが、多くの実験に取り組むほど仲間との絆を深めることが出来ます。また、自分自身の研究だけではなく、学会発表や企業からの委託研究、他大学との共同研究など、多岐にわたって意欲的に取り組みます。様々な人と関わる機会があるため、広い知見を持って研究を行うことが出来ます。
Concrete Materials and Durability Design
Our laboratory is attempting to design concrete that has the flexibility, air permeability, minute tissue-like structure, and warmth organization of wood in order to generate a concrete that is suited for the Japanese climate. It is said that 1000-years-old wood will remain in good condition for another 1000 years. Wood is a material that can live two times. However, a piece of wood that can last 1000 years requires a skilled carpenter. A carpenter specializing in building shrines and palaces who can breathe life into wood might be like the old woodworker Geppetto in the story of Pinocchio. We want to breathe life into concrete so that it can last for 1000 years with wood-like characteristics that are more suitable for the Japanese climate. In order to do so, we are studying methods to prevent the generation of cracks in concrete, taking on the role of "concrete doctors" and examining the causes of deterioration of concrete.